今回は、大阪に本社を構える株式会社類設計室の山根教彦さんにインタビューを行いました。
山根さんは現在、同社の全事業を統括する事業統括部の事業戦略課の責任者を務めています。
今回のインタビューでは、類設計室の働き方やキャリアアップ、そして過去のネット上のネガティブな情報についても、山根さんに本音で詳しく教えていただきました。
かつての類設計室と今では何が違うのか、最新の実態について深掘りしています。ぜひご一読ください。
-Q.御社について調べると、かなり働く会社だったのではないかという印象を受けましたが(笑)昔と現在だとかなり変化があるのでしょうか?
そうですよね(笑)
実はかつては、月曜から土曜までの勤務が基本で、日祝が休日という働き方が定着していました。創業メンバーが「全員が経営者」という意識のもと、仕事だけでなく、会社運営のためのあらゆる活動も、一人一人の社員が担い、社会貢献のための勉強・研修も自社で行っていましたので、土曜日は主にそうした時間にあてられることが多く、その結果、ご質問のような印象につながったのだと思います。
しかし、2021年からの改革で、現在この働き方は大きく変化しています。実はこの改革の背景には、私が人事担当になってから行った会社の実態調査結果が関係しています。
当時の実態調査の結果、2つの課題が見えてきました。一つは、建築設計職の離職率が30代で急増すること。これは、社員の結婚や子育てなどによるライフスタイルの変化に会社が柔軟に対応できていないことや、給与水準が原因だと考えられました。
二つ目は、設計部門以外の傾向として、3年〜5年で離職する若手社員が多いこと。これは、「一人ひとりのやりがい」や「社会の役に立っているという実感」が不足しているためという傾向が見えました。
これらの課題を受け、弊社は「人材(社員)への投資」を最優先課題とし、2021年から様々な改革に着手してきました。
具体的には、まず全社員の給与の引き上げ。それと同時に休日日数を増やすという施策を実行しました。以降、土曜日勤務は段階的に削減され、現在は月に1回程度のみとなっています。
毎年3月には年間スケジュールを発表していますので、各自予定を調整しています。また、子育て世代の社員は、弊社の制度である共同保育室なども積極的に利用しています。
また、長期の休みが取れるように調整し、数年前から、海外旅行などを楽しんでいる社員も増えてきました。現在の年間休日数は110~120日です。全社員の年間休日数を120日に統一することを目標にするとともに、現在より働きやすくするために、様々な制度の検討を進めています。
私自身、ひとりでも多くの社員が「活力を持って働く」ことができるよう、社員の公私いずれもが充実するような会社を目指しています。
-Q.社内改革の結果、離職率は改善しましたか?
皆さんと一緒に進めてきた社内改革の取り組みが、着実に実を結んでいます。改革前の2019年には12%だった離職率が、2024年には4%にまで下がりました。
これは、社員の皆さん一人ひとりのご協力のおかげであり、働きやすい環境が育まれてきていることの表れだと実感しています。
-Q.残業時間についてはいかがですか?
現在、弊社全体の平均年収は633万円(2025年5月現在)です。 この給与には固定残業代(30時間分)が含まれています。1日あたり約2時間にあたります。
ちなみに、設計職などの一部の職種に関しては、プロジェクトが佳境に入る時期などに残業時間が普段より長くなることもまだまだありますが、これも課題として捉え、現在改善に向けて動いています。

会社全体の文化として、かなり自由度が高いのも私たちの特徴です。私たちは『自主管理』という考え方を大切にしており、チーム内で自分の役割をきちんと果たしていれば、日々のスケジュールは個人の裁量に任されています。ですから、タイムカードで厳しく管理するというよりは、社員一人ひとりを信頼するスタイルですね。
以前はご家庭のことなどを少し話しにくい雰囲気もあったかもしれませんが、ここ数年は、何かあった時にすぐに相談できるような風通しの良い環境づくりに力を入れてきました。今では、プライベートなことでも気兼ねなく話せる雰囲気になっていると思います。
-Q.設計事業部の魅力や強みはどのような点だと思いますか?
私たちの設計事業部の魅力は、オープンで自主性を尊重する社風にあります。これが、事業部全体の強さの源泉になっていると考えています。
まず、社員一人ひとりが「こうしたい」という想いやアイデアを積極的に発信できる土壌があります。個々の専門性や個性を存分に発揮できるからこそ、設計者としてのスキルを高いレベルで磨き続けることができます。
ただ、私たちは個人プレーの集団というわけではありません。それぞれの強みを持ち寄って、チームとして協力し合うことで、より複雑で質の高いプロジェクトを成功に導いています。個々の卓越したスキルと、組織としてのチームワーク、この両輪を兼ね備えている点が、私たちの最大の強みです。
こうした社風や働きがいは、具体的な数字にも表れています。設計事業部では、新卒入社10年後の定着率が69%に達しています。これは、建設業界の平均が57.5%であることを踏まえると、非常に高い水準です。
これは単に居心地が良いというだけでなく、一人ひとりがプロフェッショナルとして尊重され、チームの一員として貢献できる実感を得ながら、長期的なキャリアを安心して築いていける環境が整っていることの証だと自負しております。
-Q.少し踏み込んだ質問なのですが、御社をインターネットで調べると、少々気になる過去の記事がでてきますよね。
そうですね。事実とそうでないものがあるというのが正直なところですが、事実については真摯に受け止め、全力で改善にあたってきました。
ネット上の情報をご覧になってご不安に思われることもあるかもしれませんが、ほとんどが現在の弊社に関する情報ではありませんので、もし気になることがあれば、ぜひ実際にお問い合わせいただけたら嬉しく思います。包み隠さずお話したいと思っています。
例えば、過去の残業代に関する問題ですが、これは創業当初からの「全員経営」という理念が背景にあります。一人一人が経営の当事者となり、みんなで会社を経営しようという思いからです。
創業から15年で社員数が200〜300人規模に拡大し認知度が拡大する中で、「全員経営者と言っているが、実態は違うのではないか」などの意見を多数いただくようになりました。そのため名実ともに「全員経営」とするため、「全員取締役」という体制をとっていた時期がありました。
しかし、その登記情報が公開されたことで、逆に個人情報を悪用される事案が発生し、また、当時の働き方の状況が相まって、多くのご意見を頂く結果を招いてしまいました。現在もその情報が残ってしまっているという状態です。もちろん良かれと思って行った改革でしたが、このような経験を踏まえ、現在は社員が「生き生きと働ける」環境の整備について、慎重に協議を進めながらも柔軟な決断が行えるよう努めています。
弊社の大きな改革は2021年から始まりました。現社長は改革開始当初「20代、30代の社員が、どんな会社にしたいか。これからの会社を創るのは君たちだから、君たちの意見を聞きたい。」と社員を激励し、この社長の思いのもと、私自身も、多くの若い世代の社員の声を吸い上げながら改革を進めてきたつもりです。
ちなみに現在は、弊社に入社を検討してくださっている方々には、入社前に、実際の社員の姿や会社の状況を体験してもらう機会を設けています。少しでも弊社を知り、納得して入社していただけたらと思っています。
-Q.評価制度やキャリアアップについても伺えればと思います。まずは貴社の評価制度について、どのような方針で設計されていますか?
弊社では、能力や職務レベルに応じた「職級制」を採用しています。現在、給与水準を大手スーパーゼネコンと同等レベルにすることを目指しており、継続的な引き上げを行っています。
以前は「給与カーブ制」という年功序列型の給与体系でしたが、今は、技術の習熟度に応じて昇給する「習熟給」と、年度の成果を反映する「実績給」で構成される制度に刷新しています。過去よりも、若手社員でも実力があれば給与が上がります。組織全体が活性化するような評価制度を目指しています。
-Q.キャリアアップについてはいかがですか?社員にはこんな成長をしてほしい、などお考えがあれば教えてください。
若手から発信・チャレンジできる環境、心理的安全性の高い状況、そして普段の仕事とは異なる学びの機会(建築塾やサロン、他事業への参加など)を意識的に設けているのですが、社員には様々な経験を通して、人間力を磨き、自身の世界を広げてほしいと願っています。
特に新卒で入社する最初の会社は、その後のキャリアや思考に大きく影響すると考えていますので、入社間もない若手社員に対しては、特に多くの経験を積んでもらえるようにしています。
最近は、一生同じ会社で働きたいという思考を持たない方も多いのではないかと思っています。ですが、せっかく類設計室を選び入社していただくのであれば、強固な基盤を築いてほしいと考えています。
もちろん弊社でやりたいことを見つけ、キャリアアップしていただけたらとても嬉しく思いますが、画一的なキャリアロードマップを描く必要はないと思っています。社員一人ひとりが人として成長し、それぞれの描くキャリアを実現する力をつけられるような場所を目指しています。
-Q.社員を大切に、そして尊重される文化なのですね。それでは最後に、貴社が求める人物像や、入社を検討している方々へのメッセージをお願いします。
類設計室は、過去の課題と真摯に向き合いながら、社員一人ひとりの「活力」と「人間力」の成長を重視する組織へと変革を続けています。
組織を「作る側」として主体的に会社に関わり、共に未来を切り拓いていく。そんな姿勢に共感していただける方に、ぜひご入社いただきたいと考えています。

まとめ
山根さんのお話から、類設計室が過去の課題と真摯に向き合い、それを教訓として、より良い職場環境を築くために改革を推進していることがわかりました。
特に、成果や実力に応じて昇給・昇格が実現できる新制度の導入や、挑戦の機会を積極的に設けることで、年齢に関係なく活躍できる環境が整っていることが伺えます。
「人」も「会社」も、変わることができる。長い歴史を持ちながらも、現在進行形で改革を続ける類設計室、とても魅力的な企業ですね。
口コミ回答サイトkaiでは、他にも類設計室に関する様々な質問と回答を公開しています。ぜひ一度ご覧いただき、入社の判断材料にしていただければ幸いです。