フジミツ株式会社
食品製造業(水産練製品、調理麺製品等の製造および販売)
山口県長門市東深川2537-1

フジミツ株式会社は、今年で創業138年を迎える老舗食品メーカーです。
山口県長門市を拠点に、蒲鉾(かまぼこ)などの練り物をはじめ、調理麺やレトルト商品などの製造・販売を手掛けています。
今回は、「チーズころん」や「おつまみかにかま」といったヒット商品を生み出し、積極的な海外戦略によってフジミツを「グローバル企業」へと成長させた5代目社長、 藤田雅史氏に自社の強みや企業風土、求める人物像や今後の展望について伺いました。
フジミツ株式会社は、1887年(明治20年)に私の曽祖父である藤田久蔵が生まれ育った山口県長門市(当時は仙崎地区)で創業しました。
明治期の長門市は、新鮮な魚が豊富に揚がる一方で、冷蔵設備がほとんどなかったため、魚の鮮度を長く保ち、美味しく食べる方法が求められていました。
そこで久蔵は、長門の豊かな海の幸を活かし、地域の人々に栄養価の高い食品を届けたいという思いから、魚肉を加工して保存性と旨味を高める蒲鉾づくりに着目しました。
創業当時から受け継がれているのは、単なる保存食ではなく、「毎日の食卓に笑顔を届ける商品」をつくる姿勢です。
この志が現在も脈々と息づいており、伝統を守りながら新しい挑戦を続けるフジミツの礎となっています。
創業から130年以上経過した今もその精神を守りながら、新しい技術や食文化を取り入れる挑戦を続けています。
私は三人兄弟の長男であり、幼い頃から会社を継ぐことが決まっていました。
都会に憧れ、東京の大学を目指しましたが、家族の反対もあり、地元の山口大学で経済学を学びました。
その後、父の命により陸上自衛隊の幹部候補生学校へ入学し、さらに9ヶ月間のアメリカ留学を経験しました。
1986年に帰国し、25歳の時に三隅工場の工場長として入社しました。
突然、工場長になった上に残業時間の軽減を命じられ、パニックになったのを覚えています。
右も左もわからず、梱包作業しかできない日々でしたが、社員の声に耳を傾け、観察を続けるうちに特定の生産ラインだけが遅れていることに気が付きました。
そこで、生産ラインの稼働時間の調整を提案したところ、全体の終業時間を2時間早めることに成功しました。
この成功体験が現在までの改善活動の原点となっています。

会社の売上が落ち始めたのを機に、自ら志願して営業部に異動しました。
当時、看板商品の板付きかまぼこは、地域シェア50%以上でしたが、ちくわやさつま揚げは10%以下、かにかまに至っては0%でした。
そこで、かにかまなどの新商品を開発し、既存の販路を活用することで売上アップを目指しました。
チーズころんは、お酒の席でバスケットに盛られたお菓子を見た時、「おやつ感覚で食べられる練り商品も良いかもしれない」と思ったのが開発のきっかけです。
お子さんだけでなく、女性の購入層も意識し、ワインに合うチーズを入れてアクセントにしました。
実は発売当初はまったく売れなかったのですが、運良く地元の人気旅館のお着き菓子に採用されたことでヒットしました。
新商品のヒットにより、売上は伸び始め、今や弊社の主力商品となりました。
しかし、じつはかにかまもチーズころんも父からは「まがいものだ」「老舗かまぼこ屋のブランドを汚すな」と、猛反対されました。
それでも折れずに計画書を6回も書き直したり、銀行の役員や設計士など、第三者から説得してもらったりと、粘り強く取り組むことで販売に至りました。
2002年に社長に就任し、2010年からは海外へと販路を拡大しました。
海外の健康志向の高まりとともに取引も増え、現在は、台湾、香港、アメリカ、シンガポール、オーストラリアなどにも商品を輸出しています。
ただ製造した商品を輸出するのではなく、現地の味覚や規制に合わせてレシピを調整しています。
さらに、現地の環境を考慮し、常温で販売可能な商品を開発・提供しています。
「伝統を守りつつ進化させる」という姿勢を大切に、時代のニーズに合わせた商品づくりに注力しています。

社風においても伝統を守りつつ「挑戦する」姿勢を評価しています。
若手社員が提案した商品は私も試食しますし、面白い商品、企画は積極的に採用しています。
実際に若手社員考案による蒲鉾や海外向け商品の採用例も多数あります。
フジミツには、社員が「自分のアイデアが会社を動かしている」と感じられる企業風土が根付いており、社員一人ひとりがやりがいを持ち続けられる環境づくりこそ、私たち経営陣の大切な使命だと考えています。
労働環境においても時代のニーズに合わせて柔軟に変化すべきだと考えており、「社員一人ひとりが長く安心して働ける会社」「若手が成長できる職場づくり」をキーワードに改善を進めています。
2023年に通勤手当や扶養手当の上限を引き上げたほか、女性役職者や、育児や介護をする社員のために時短勤務制度や時差出勤制度を導入しました。
入社時に経済的な問題を抱える社員には特別支度金の支給もしています。
また、成長を実感できるよう、社外研修制度や資格取得支援制度、ジョブローテーション制度などを設け、キャリア形成を支援しています。
社員同士の交流にも力を入れており、私が企画したボウリング大会のほか、社員旅行、地元祭りへの参加など、部署を横断したコミュニケーションの機会を設けています。
これらが部署の垣根を越えた協力体制を構築し、風通しの良い社風を醸成しています。
今、働いてくれている社員が会社や仕事に満足していなくては、良い人材は入ってきません。
特に田舎は悪いうわさがすぐに広まってしまいますので、良い人材を迎え入れるためにも労働環境の整備に力を入れています。
環境改善には現場の声を聞くことが重要ですので、役員には毎週現場に入るよう指示していますし、私も日常的に現場に足を運んでいます。
経営陣と社員の距離が近いことも、弊社の風通しの良さにつながっています。
フジミツが求めるのは「誠実に品質を守りながら、仲間と協力し、新しい挑戦と変化を楽しめる人」です。
具体的には、次の5つをお持ちの方とぜひ一緒に働きたいですね。
1.誠実さと責任感
食品を扱う企業として「安全・品質第一」を徹底できる誠実さ、緻密な作業や衛生管理を確実に守れる責任感があることが重要です。
2.チームワークを大切にできる
弊社は部署の垣根を越えて助け合う社風が根付いているため、協調性・コミュニケーション力が高い方は活躍できるはずです。
3.挑戦心と成長意欲
伝統を守りながら新商品開発や海外展開など「新しいことに挑む」姿勢を持ち、自ら学び行動できる積極性を評価しています。
4.地域や食文化への愛着
山口県長門市を拠点に事業を展開しているため、地域に貢献したい・地元の食文化を広めたいという思いはモチベーションになるはずです。
5.柔軟さと向上心
これからも環境改善やIT化などを推進していく予定のため、会社は変化していきます。
変化を前向きに受け入れ、学び続けられる柔軟性が大切です。

「山口から食文化を世界へ〜 グローカルチャー〜」をテーマに掲げ、東アジア圏を中心に輸出と技術顧問契約の両面で展開を始めています。
これからは「商品を売る」だけでなく、「技術を売る」ことも視野に入れています。
商品の製造技術だけでなく、日本の製造業が培ってきたコストダウンのノウハウや弊社がここ数年で実践してきた工場の環境改善の経験は、海外企業にとって大きな価値を持つはずです。
このノウハウを提供し、得られた成果の一部をロイヤリティとしていただくスキームを構築します。
また、国内では、魚肉加工の技術と知見を活かしたヘルシー志向の新ブランドの立ち上げを準備しています。
ブランドの立ち上げに先がけて、オリンピックや世界選手権の出場経験を持つアスリートとコラボレーションし、日本かまぼこ協会とトップアスリートの「W認定」を得た高たんぱく・低脂肪のフィッシュプロテイン商品を開発・発売しました。
「海から生まれたおいしさを、世界の日常へ」。
この思いを社員全員で共有し、次の100年に向けてこれからも挑戦を続けていきます。